リアルな恋は落ち着かない
(五十嵐くんに知られたら、ドン引きされるか、笑われるかのどっちかだと思うけど・・・)


だから絶対、内緒にしておく。

けれど妄想している間の私は、楽しくてとても幸せだった。

「へへへ」と思い出しながら、会社に向かう足取りは軽い。

なぜなら。

まりんちゃんが会社に来るのは、本当に昨日で終わりになった。

だからもう、会わなくてすむ。

それだけで、気持ちはずいぶん楽だった。

彼女のことが気になってても、彼女の言葉が心に突き刺さったままだとしても。

会わなければもう、振り回されることはないと思った。


(もちろん、土日のことは気になっているけれど・・・)


仕事中や休憩時間、どんな話をしたのかなって。

きっとまた、まりんちゃんからアプローチを受けたりして、それで気持ちが揺れたかなって、そんな不安が時々顔を出すけれど。

そのたび私は、甘い記憶を何度も何度も思い出す。

そして彼の気持ちはきっと変わっていないって、自分を勇気づけていた。










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