リアルな恋は落ち着かない
「まあ、橘内さんは姫だよね。ここに部長も加われば、三銃士かな」

「あっ!いいですねえ。でも部長が加わると、ちょっとイメージ変わるかも~」

美瑠久ちゃんはきゃっきゃと笑い、しばらく課長と話していたけど、途中ではっとしたように、私と五十嵐くんを見た。

「あっ!おじゃましちゃいますね!」

「えっ」

「ウフフ。すみませーん、課長、私たちはもう行きましょう!」

そう言うと、美瑠久ちゃんは課長の背中をズイズイ押して、部屋の外へと促した。

虚を突かれた感じの課長は、「あ?ああ・・・」と呟きながら、美瑠久ちゃんに言われるがまま、彼女とともに廊下の方へ。

「じゃあ、お大事に~!」

ドアを閉める直前、美瑠久ちゃんは私に向かってバチンと右目でウインクをした。

「・・・」


(これは多分、気を使ってくれたんだよね・・・)


医務室の中は、突然、五十嵐くんと二人きり。

今日ばかりは、美瑠久ちゃんの気遣いは遠慮したいところだった。

「・・・体調、悪かったんですか」

微妙な空気の中、再度確認するように五十嵐くんが口を開いた。

私は視線をそらしたまま、「ううん」と首を横に振る。

「朝はなんともなかったんだけど・・・。倒れたのなんて初めてだから、自分でもちょっと驚いて・・・」

「・・・そうですか。会社に着くなり、『橘内さんが倒れた』って、課長と宗田さんが抱えてたから。

・・・心配しました。見守ることしかできなかったけど」
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