リアルな恋は落ち着かない
五十嵐くんが目を伏せた。

私はもう、涙が出そうで。

どうしていいかわからなくて、感情がいっぱいに溢れて、揺れて高ぶっていく。

「・・・そうじゃ、なくて」

一度上がった感情は、抑えることができなくて。

この先を言ったらどうなるのかとか、そんなことは、もう、考えることは出来なくなった。

「五十嵐くんは・・・まりんちゃんのことが好きなの?」

「は・・・?」

突然の問いかけに、彼は目を見開いた。

そしてすぐに、「まさか」と言って否定する。

「この前も言ったけど。オレは、橘内さんが好きですよ」

「でも・・・まりんちゃんと・・・キスは、した?」

「えっ・・・」
 
五十嵐くんの動きが止まる。

思案するように、彼は私を見つめだす。

そしてなにかを思い出したのか、はっとしたように表情を切り変えた時だった。

「いやー、ごめんねえ、すっかり遅くなっちゃって」

医務室の先生が、ドアを開けて部屋の中に入ってきた。

50代ぐらいの、チャキチャキとした女医先生。

五十嵐くんのことを見るなり、「あら?」と言って不思議そうな顔をした。

「付き添いさん、変わった?」

「はい。すみません」
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