リアルな恋は落ち着かない
そして脳内情報整理して、再び私に問いかけた。

「でも、朝までは一緒だったんだろう。

もつ鍋屋から、五十嵐が王子様が如くゆりりんを連れ去ったって、井崎さんが言ってたぞ。それでそのまま連れて帰って・・・五十嵐の家に泊まったんじゃないのか」

「・・・」


(そう、なってますか・・・)


もう、井崎さんからももさんルートの情報網ができてしまった。

会社関係の出来事も、隠すことはできなそう。

だけどあの日、私が臆病で関係を進めなかったということは、今この場では、隠しておきたいことだった。

「・・・そんなかっこいいものじゃなかったし、泊まってもないですよ」

言いにくそうな私に代わり、五十嵐くんが説明をする。

すると「え」と驚いた宇佐美くんが、さらなるツッコミを入れてきた。

「でも、家には連れて帰ったんだろ」

「・・・まあ、そう。でも、その日のうちに家に送り届けたよ」

「えっ!?」

宇佐美くんがのけ反った。

そして信じられない、という表情になる。

「ほ、本気か。せっかく連れて帰ったのに・・・。えらいな、柊吾」

「・・・なにが」

「いや、ここは言葉にしないけど。やっぱおまえはレッドだな」

「は?・・・なんだそれ」

五十嵐くんは、ももさんに洗脳されたらしい宇佐美くんを、ジロリと睨んでさらりとかわす。

これ以上、つっこまれるのが嫌なのだろう。

目の前にある水をゴクゴク飲んで、「とりあえず注文しよう」とメニュー表に目を向けた。


(・・・そうなんだよね・・・)


金曜の夜・・・あれから、少しだけ話をしながら一緒の時間を過ごしたけれど。

私が実家暮らしなのもお互いはっと思い出し、五十嵐くんは私服に着替え、0時前には家に着くよう車で送ってくれたのだ。
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