リアルな恋は落ち着かない
その日の午後、15時過ぎ。

ちょっと一息いれようと、私は飲み物を買うためにお財布を持ってフロアを出た。


(パソコンで肩もこったし、五十嵐くんの件も気になるし・・・)


とにかく今日は、いつもに増して頭も身体もぐったりだ。


(疲れがとれるように、甘ーいカフェラテでも飲もう)


自動販売機があるのは2階だ。

私は廊下を進んでエレベーターの下向き矢印を押した。

そしてエレベーターの到着を待っていると、後ろから「橘内さん」と声をかけられた。


(・・・わ!)


振り向くと、そこに立っていたのは阿部課長。

私は内心とても驚き、持っていた財布を思わず落としそうになる。

「ごめんね、ちょっと」

手招きをされた私は、エレベーターの裏にある、壁がちょっとくぼんだ場所に移った課長の後をついていく。


(な、なんだろう・・・。まさか五十嵐くん、やっぱり課長に言ってしまったとか・・・)


不安な気持ちでドキドキしながら、阿部課長の言葉を待つ。

すると阿部課長は「これ」と言って、四角い紙袋を私に渡した。

「・・・?」

「土日でね、伊豆の方まで行ってきたんだ。橘内さんに似合いそうだから。おみやげ」

「えっ・・・」

思わず、その場で袋の中身を開いて確認してしまった。

そこには、かわいらしいピンクのハンドタオルが一枚たたんで入っていた。


(わ・・・)
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