リアルな恋は落ち着かない
「自分の家、説明できますか」

「うん・・・。日ノ出町」

私の意識は、正常と朦朧と半分半分。

なんとか、最寄り駅の名前を言えた。

「日ノ出町のどのあたりですか」

「駅の・・・近く。・・・野毛山動物園の・・・・・・。近く」

「野毛山って・・・。そっちは駅からずいぶん離れてますよ」

「ん・・・」

「・・・やっぱ無理か」

五十嵐くんがスマホをさっと取り出した。

そしてなにやら画面を操作し、そのまま耳に押し当てた。

「・・・ああ、宗田さん、ごめん。五十嵐です」

五十嵐くんが話を始めた。

すると、「きゃー!五十嵐さーん!」という、美瑠久ちゃんのハイテンションな声が私の耳まで漏れ聞こえた。

「・・・こっちも酔ってるのか・・・」

「わかりますかあ?今、営業部の人たちと飲み会なんです。あ、取り残されちゃうんで、用件早めに済ませてくださーい」

「ああ・・・わかった。じゃあ早速だけど。宗田さん、橘内さんの家知ってる?」

「知らないですよお。橘内さんも井崎さんも、全然仲良くしてくれないんですもん。私もお家に行きたいですー」

「・・・井崎さんなら知ってるかな」

「どうでしょうー。でも、井崎さん、今ケータイ壊れてるらしいですよ。明日修理に出してくるって言ってました」

「・・・そっか・・・。まいったな」

「えー、どうしたんですか?」

「さっき、酔っぱらってる橘内さんを偶然拾ったんだけど。まともに話せる感じじゃなくて。どうするかなって困ってる」
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