リアルな恋は落ち着かない
会社に行くときの私は、いつもの自分をひたすら隠し、「普通のOL」なるものを演じているのだ。


(しかも、清楚で綺麗なお嬢系!)


・・・なんて。

嘘で固めた偽りの姿で、自分で言うのはかなり心苦しいことだけど、会社のおじさまたちからは、「部内のアイドル!」と呼んでいただいている。

とはいえ。

大学までは、私はとにかく地味だった。

ほぼすっぴんの顔に、髪は後ろにひとつに束ねているだけ。

洋服は、某量販店の服をローテーションで着ている感じで、とにかく地味なものばかり。

お金があれば、漫画やゲームを買いたかったし、おしゃれ自体にも全く興味がわかなかった。

もちろん、リアルな恋愛なんて想像すらもできなくて。

男性と話すことさえ、まともになんてできなかった。


(乙女ゲームの中だったら、歴代の彼氏は数えきれないほどいるんだけど・・・)


今までずっと、二次元の彼がいれば、私はすごく満足だった。

もちろん、現実世界で「かっこいい!」と思った人や、憧れた人もいるけれど。

二次元の彼をそうそう上まるはずもなく、また、浮気をした気分になって、ちょっと後ろめたい気持ちになるので、「付き合いたい」というような感情は、抱いたことは一度もなかった。


(今は、光之助がいちばんだし・・・)


とにもかくにも。

そんなこんなで、過去の私は妄想ばかりでとにかくとても地味だった。

けれど、今の・・・お嬢系コスプレOLの私が誕生したのは、ももさんのあるひと言がきっかけになったからだった。

大学卒業後の春休み。

夢だったタシロワークスでもうすぐ私も働ける!と期待に胸を膨らませていたものの、一方で、働くことにとても不安を感じていた。

タシロワークスは、全体的に男性ばかりの男社会。

ずっと共学だったにも関わらず、男性とまともに話ができない私は、社会人としてやっていけるかとても不安になっていた。

そんな時、私を勇気づけるため、ももさんは言ってくれたのだ。

「ゆりりん、OLという職業を、コスプレすればいいではないか!」
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