リアルな恋は落ち着かない
想定外の言葉だった。まさに目からウロコが落ちた。

「コスプレイヤーとして、OL衣装でOLの演技を全うすればいいだろう」

「・・・な、なるほど!」

私は内向的なオタクであって、コスプレなどは勇気がなくて一度もしたことがない。

けれどコスプレイヤーを見るのは好きで、イベントで見ればついついワクワクしてしまう。

ちょっとだけ、やってみたいと憧れたこともあったけど、やはり私は実行できる勇気がなかった。

けれど、OLの服装ならば、他の人から見れば普通と言えば普通だし、コスプレの第一歩としては意外とハードルが低い気がした。


(それなら、できるかも・・・)


コスプレをすれば、違う自分になれるかもしれない。

他の人から見たらごくごく普通のOL服でも、私には、完全なるOL服というコスチュームだ。

「うん・・・。ももさん、私、やってみる!」

「うむ!その意気だゆりりん」

そうして、なぜか人を変身させるのは得意だったももさんにより、私は驚きの変化を遂げたのだった。

「おおー・・・!美しいぞ、ゆりりん」 

デパートでそれらしい服を買い、化粧道具を一式揃えてフルメイクを施すと、元々化粧映えする顔だったのか、なかなか見栄えのする顔立ちに仕上がった。


(ほんとに、別人・・・)


鏡の中の私は、いつもの冴えない私ではなく、全く知らない女性に見えた。

「元がいいんだな。わたしの化粧なんぞでここまで美人に仕上がるとは」

「ううん。ももさんがこんなに化粧上手だなんて知らなかった」

「いやいや。なんだか楽しくなってきたのだよ。まさにゆりりんの顔がキャンバスのように!」

絵が得意でアニメ製作所に就職予定のももさんは、そう言って満足そうに私を見ながら頷いた。

「こう・・・高くて細いヒールの靴で、『このろくでなし!』とか言って踏みつけて欲しい感じがするぞ」

「な、なにそれ・・・」

ももさんのよくわからない願望に、私はたじろぐ。
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