リアルな恋は落ち着かない
さらに宇佐美くんが電車オタクだと判明すると、鉄道がテーマのアニメ話で盛り上がり、私と五十嵐くんはすっかりおいてけぼり状態だった。


(うん・・・。ももさんと宇佐美くん、確かに気が合いそうかも)


アニメと電車。

好きな世界は違えども、ディープな趣味を持っている点では、ある意味似ているのかもしれない。

楽しそうな二人を見ながらそんなことを思っていると、五十嵐くんが私に話しかけてきた。

「橘内さんは?なにか部活とか入ってましたか」

妙にドキリとしてしまった。

五十嵐くんとこんな普通の話をするなんて、ちょっと考えていなかったから。

緊張しながら私は答える。

「中学のときは家庭科部に入っていたけど、高校からは、なにも」

「帰宅部ですか。大学は?サークルとか入ってなかったですか」

「うん・・・。なんとなく、苦手で」

いかにも暗い大学生っぽい。

過去がばれてしまった気がして、私はそのまま口を噤んだ。

五十嵐くんも、つっこんではいけないと感じたのか、「そうですか」と返事して、それきりしーんと黙ってしまった。


(会話、続かない・・・)


ももさんたちは、二人で楽しそうなのに。

私はやっぱり、人と話すのは苦手だと痛感せずにはいられなかった。
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