暗闇の中で
「……へ?何のこと?」
「……だから。お前がここで待ってる、て宮地が言うから来たんだけど?」
「何…それ?拓があたしをここまで呼んだんでしょ?」
「……は?」
「だって宮地くんが、拓があたしを体育館で呼んでたよって……」
まさか……。
あの……馬鹿……。
俺はポケットに荒々しく手を突っ込み、取り出した携帯を開いた。
締め切られた体育館の中は電波が悪く、電話をかけられなかった。
数分前に送られて来た未読メールを見ると……。
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俺がお前に試練与えるっていうのは、この事(笑)
もしも一晩中、暗闇の中で我慢できたら、ひなたちゃんをちゃんと大切に思っているか認めてやるよ!
明日は学校ねぇからもし我慢できなくなっても人が来る心配はないから!(笑)
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開いたままの携帯を放り投げて、慌てて体育館の入口まで行った。
予想通り、鍵が閉まっている。
ここの鍵は頑丈で、朝になると自動的に入口が開くようになっている。
……そう。
それは、明日の朝になるまで此処から出られない、ということ。