迷走女に激辛プロポーズ
「でも……佑都のこと嫌いだと言えない。貴方がいなくなったら……生きていけない……」

予想外の言葉だったのか、ハッと驚きの表情になる。その顔にみるみる安堵と喜びの色が広がる。

「貴方が好き……これが私の答え」

ストレートな告白に、佑都が目を見開く。リングケースが佑都の手から滑り落ちる。その拍子に指輪がカタンと床に転がり出る。

それを一瞥し、佑都は大きく息を吐き出す。

「――ようやく聞けた……」

言葉と同時に、思い切り私を抱き寄せると、息もできないほど強く抱き締める。

「ズット聞きたかった言葉だ。楓、愛している。もう離さない! 共に白髪が生えるまで……」

だが、今、彼の口からプロポーズもどきの愛の言葉を聞くつもりはない。

「共白髪まででどう? 一緒に……ん? 楓?」

両掌で胸を押し返し、彼から距離を取る。そして、彼の唇に人差し指を当て、首を横に振り言葉を遮る。

「私は自分の気持ちをしっかり確認し、伝えた。だから、あえて言う」

怒りで燃える目が、彼をキツク睨む。
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