迷走女に激辛プロポーズ
喉の渇きを覚え重い瞼をゆっくり上げる。

薄暗い部屋の中、見覚え無いシーリングライトに照らされたオレンジ色の天井が目に映る。

微かに漂うグリーンノートの香りで、ここが私のマンションでは無いらしいと悟る。

だが、焦りや驚きと言った感情より、気分の悪さの方が先立つ。胸の奥に黒い鉛が詰まっているようだ。いったい私はどうしたのだろう?

頭をゆっくりと左から右に動かし周りを見る。

スッキリと片付いた広い寝室? このベットの大きさはキングサイズ? サイドテーブルにシックなフロアーライトが有るだけの部屋だった。

焦げ茶のカーテン越しから薄い日の光が差し込んでいる。
どうやら、夜ではないらしい。

掛布団を少し捲る。
ブラウスのボタンが二つとタイトスカートのホックが外れているが、特別乱れたところは無い。

どうやら、身の危険は回避できているらしい。
ホッとしていると、カチャッと音がし、窓と対抗した側のドアが開く。
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