あなたとホワイトウェディングを夢みて
「靴くらい新しいものを買えよ」
口先では古びた靴を見て皮肉を言うが、女子高生向きなデザインの、留美らしい可愛い履き物に郁未の顔がほころぶ。
「ただいま」
留美が待っていると思うと、自然とその言葉が口から出る。すると、リビングルームの方から留美の明るい声が返ってくる。
「お帰りなさい」
リビングルームへ行くと、以前の健康体と同じ顔色に戻った留美がソファに座っていた。聡と外出した留美に腹を立てていた郁未だが、留美の顔を見た途端笑みが零れる。
「食事は済ませたのか?」
「はい、頂きましたよ。でも、家政婦さんは急用が入ったので帰って貰ったんですけど……」
郁未に連絡も無しに自分の判断で家政婦を帰した事を詫びた留美だが、郁未はそれを咎めはしない。誰にでも急用はできる。逆に、郁未の代わりに留美が対応してくれた事に礼を言う。
「悪かったね、家政婦に世話をさせるつもりが」
「ご家族の方が突然発熱したとかで。私なら大丈夫ですし」
聡と二人で外出し、午前中一緒に過ごしたからなのか、生き生きした表情で答える留美に嫉妬さえ感じる。すると、郁未は留美の隣に腰を下ろした。
「あの……専務?」
自分の所有物のように肩を抱き寄せられた留美は驚きで立ち上がろうと腰を浮かした。しかし、郁未の手の力強さにソファへ戻される。肩から背中に腕を回され、郁未の胸へと引き寄せられると留美は深く抱きしめられる。