あなたとホワイトウェディングを夢みて
「天の助け!」
聡は慌ててクラクションを鳴らした。
クラクションに驚いた通行人たちが一斉に聡の車を見る。同じく留美もビックリした顔で聡の車の方を向く。
クラクションに気を取られた留美は派手なスカイブルーの車が目に止まり、その運転席から手を振っている聡に気付く。
聡が助手席に眠る郁未を指さすと、おいでと留美に手招きする。少し迷った留美だが、聡は郁未の親友であると同時に会社にとってはクライアントでもある。仕方なく聡がいる運転席の窓に近づいて行く。
「乗って」
聡は窓を少し下げて、留美に後部座席に座るように目配せする。
すると助手席に眠る郁未を見た留美の顔が困惑する。留美の表情を見逃さない聡は「青信号に変わってしまう」と、車に乗るように急かす。
信号待ちしていた赤信号は青に変わり、後方の車からクラクションが鳴る。
「早く」
このままでは後続車に迷惑がかかる。仕方なく留美はドアを開けて後部座席へと乗り込んだ。
ドアを閉め、留美が完全に車に乗ったのを確認した聡は車を走らせた。
「さて、何から聞けば良いのか…… 聞きたいことは山のようにあるが、郁未がこの調子なんでね」
バックミラー越しに留美の容姿を眺めながら、溜め息交じりに言う聡。返す言葉がない留美は俯く。
清楚な服装で、一人で街中を歩く留美と、昼間っからホテルのラウンジで酔い潰れるまで飲む郁未。二人の関係の行方を聞かされていない聡としては、窓の外ばかり見ている留美の態度が気になる。
「留美ちゃん、この後、予定でもあったのかな? それを俺は邪魔をしたのかな?」
今の時刻は時間的には勤務中だが、留美の服装は仕事向きとは思えない。フェミニンな装いはデートを匂わせる。それは郁未の為の装いなのか気になり質問する。
質問をふられビクッと肩が震えた留美は目が泳ぐと、すぐに答えられず口ごもる。
聡の目にハッキリと判るほどに留美の困惑が伝わってくる。