あなたとホワイトウェディングを夢みて
「探したんだぞ、留美」

 郁未の胸に抱かれて心地良さそうに眠る留美。夢でも見てるのか表情が和らいでいる。

「……留美」

 切なげに名前をつぶやくと、留美の身体をきつく抱きしめ愛らしい唇に口づけする。
 留美の甘い唇は白い肌と同じく柔らかで愛おしい。唇を重ねれば重ねるほどに愛しさは増す。

「ああ、ヤバイな。これ以上キスしたら抑えが効かない」

 しかし、抱き締める留美の身体の柔らかさに高揚感が増すとキスを止められない。何度も啄み、潤う下唇に吸い付くと甘噛みする。
 こんなにも唇に触れているのに未だに気付かない留美が憎らしく感じる。留美を目覚めさせようと唇の隙間から舌を入れ絡ませては留美を味わう。

「キス好き?」

 眠っているはずなのに、郁未の質問に応えるように留美の唇が動く。声にならないが、微かに頷くようにも見える。
 嬉しくなった郁未は更に留美を抱きしめる。自分の腕の中に包み込んでいるのに、まるで留美に抱かれている気分だ。それに、心が安らぐと魂までもが癒やされていく。

「う……ん……」

 流石に留美も気付き始めた。
 背中に感じるゴツゴツとした男性的な感覚に、誰かの身体に触れていると判った留美はパッと瞼を開く。

「誰?!」

 いつの間にか郁未の腕に抱かれていて、今の状況に混乱する留美はオタオタする。

「恥ずかしがらなくて良い。俺達はもうすぐ結婚するんだ。本当なら、今すぐにでもこの手に抱きたいのに」

 あの時の会話を聞かれていたとも知らず、郁未は思ったままに心の内を晒す。しかし、留美にはそれも賭けの為の嘘だとしか思えず、今までのようには心には響かない。
 悲しげな顔で留美が俯くと、郁未は留美の背に腕を回し、胸深く留美を抱き寄せる。

「やっ!」

 つい、条件反射で留美は郁未の胸を突き放した。

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