あなたとホワイトウェディングを夢みて
「そうなのよ、部長と業務報告に行ったら、結婚式の打ち合わせだって言ってたのよ」
「綺麗な人だったのね。やっぱり、お金持ちのお嬢様なんでしょうね」
「そりゃあそうよ。どこかの社長令嬢だと思うわ。あんな知的美人初めて見たわ。それに、スタイル抜群なの」
「一般庶民の私達には高嶺の花ってことなのね」
「ああ、私の白馬の王子様ぁ」
「どっちにしても、平凡な私たちが専務の婚約者に敵うはずないでしょ」
エレベーター待ちなのか、ホールで屯する女子社員達。
彼女達の会話の邪魔にならないようにホール端でエレベーターを待つつもりだった。
しかし、噂話が郁未とどこかの社長令嬢との結婚話だと分かると、留美は居ても立ってもいられなくなりエレベーター横の階段へと足早に行く。
人っ子一人いない階段棟、静まり返る空間に彼女らの興奮する声が響いて来る。郁未の婚約者がどこの誰で、どんな美人なのかなんて知りたくもない。留美は階段を駆け上がって行った。
(結局、政略結婚に応じたんじゃない。だったら、賭けなんて必要なかった。じゃあ、私って……)
完全に弄ばれただけ。
社内でも唯一の、お固くて害のない女性社員で、男性社員だけでなく、世の男性とも縁のなさそうな奇特な存在だからこそ、賭けの対象に選ばれた可能性が高い。そんな相手だから、簡単にキスで落とし、プロポーズして婚約指輪を買えた。こんな女を術中に陥れるのはお手のものだっただろう。もう、これは殆ど結婚詐欺に遭ったのと同じ。
悲しみより悔しさや怒りが増してきた留美は、階段を一気に駆け上がって行った。そして、辿り着いたのは役員フロアで、専務室がある階だ。
受付は無人で、辺りに人の気配はない。秘書と鉢合わせするのも面倒だと留美は専務室へと急いだ。
ドアの前までやって来ると大きく深呼吸し呼吸を整えた。今がチャンスと勢い良くドアを叩く。
「入れ」
アポイントを取っていなかったが、返事が返ってきた。
留美は「失礼します」といつもと同じ口調で入室する。
すると、ドアを叩いたのが留美だと判ると、郁未の表情が強ばっていく。
「綺麗な人だったのね。やっぱり、お金持ちのお嬢様なんでしょうね」
「そりゃあそうよ。どこかの社長令嬢だと思うわ。あんな知的美人初めて見たわ。それに、スタイル抜群なの」
「一般庶民の私達には高嶺の花ってことなのね」
「ああ、私の白馬の王子様ぁ」
「どっちにしても、平凡な私たちが専務の婚約者に敵うはずないでしょ」
エレベーター待ちなのか、ホールで屯する女子社員達。
彼女達の会話の邪魔にならないようにホール端でエレベーターを待つつもりだった。
しかし、噂話が郁未とどこかの社長令嬢との結婚話だと分かると、留美は居ても立ってもいられなくなりエレベーター横の階段へと足早に行く。
人っ子一人いない階段棟、静まり返る空間に彼女らの興奮する声が響いて来る。郁未の婚約者がどこの誰で、どんな美人なのかなんて知りたくもない。留美は階段を駆け上がって行った。
(結局、政略結婚に応じたんじゃない。だったら、賭けなんて必要なかった。じゃあ、私って……)
完全に弄ばれただけ。
社内でも唯一の、お固くて害のない女性社員で、男性社員だけでなく、世の男性とも縁のなさそうな奇特な存在だからこそ、賭けの対象に選ばれた可能性が高い。そんな相手だから、簡単にキスで落とし、プロポーズして婚約指輪を買えた。こんな女を術中に陥れるのはお手のものだっただろう。もう、これは殆ど結婚詐欺に遭ったのと同じ。
悲しみより悔しさや怒りが増してきた留美は、階段を一気に駆け上がって行った。そして、辿り着いたのは役員フロアで、専務室がある階だ。
受付は無人で、辺りに人の気配はない。秘書と鉢合わせするのも面倒だと留美は専務室へと急いだ。
ドアの前までやって来ると大きく深呼吸し呼吸を整えた。今がチャンスと勢い良くドアを叩く。
「入れ」
アポイントを取っていなかったが、返事が返ってきた。
留美は「失礼します」といつもと同じ口調で入室する。
すると、ドアを叩いたのが留美だと判ると、郁未の表情が強ばっていく。