あなたとホワイトウェディングを夢みて
二人だけの空間で肌が密着するのは気分的に変な感じだ。留美は指の間から伝わる郁未の熱に犯され、頭の芯までその熱で意識が朦朧としそうだ。
なのに、突然郁未から冷たい言葉が飛んでくる。
「相手は一応得意先の男だ。何も喋らずに黙って俺の隣に座ってろ」
横暴な郁未のセリフにさっきまでの熱は一気に冷めると、握りしめられる手を持ち上げ絡む指を離そうと振り払う。
「学生時代の友人で得意先の相手じゃないわ」
「相手が誰だろうと余計な口を出さずに大人しくしていろ」
郁未の横暴さは今に始まった事ではないが、話しかけてくる相手を無視するほど非常識さは持ち合わせていない。
「そんなに気に入らないのなら帰ります。私がいても意味ないでしょう」
腹立たしさのあまり留美が席を立ち、テーブルから離れようとする。
「今日のお前は俺の恋人だ」
郁未の身勝手な言い分に怒りを覚えた留美が、平手打ちを喰わせようと手を掲げると、その手を郁未に掴まれる。
「放してっ……」
「放さない」
怒り任せに手首を掴んだ郁未は自分の方へと引き寄せる。バランスを崩しそうになる留美を抱き留めた郁未は、握りしめていた手首から手を離し背へと回す。
そして後頭部を抱きしめながら留美の唇を奪う。
「ん……」
最高級のワイン以上に、甘くてまろやかな郁未の舌が絡みつく。息も出来ないほどに吸い付かれ、留美の身体から力が抜けそうになる。