あなたとホワイトウェディングを夢みて
これで何度目のキスなのか、キスされればされるほど、留美は重なる唇が愛しさを増していく。強引なのに甘くて痺れるキスが嫌と思えなく、舌が絡んでくると脳天まで麻痺したようで、それが心地良くなる。
「キス好き?」
会社の専務室で同じように郁未に質問されれば、きっと頬を叩いて郁未を張り倒すところだろう。けれど、スウィートルームだからなのか、或いはドレスの所為か素直に頷いてしまった。
『留美』と囁かれ、目の前の一面に薔薇の花びらが舞い散っている気分だ。つい、抱きしめられるままに唇を重ね留美自らもキスを求めた。
「メインディッシュよりデザートの方が良かったかな、二人とも?」
背後から聞こえる声にハッとして、重なる二人の唇が離れる。キスに夢中になっていた留美は全身を茹で蛸のように真っ赤に染めると『トイレ行ってきます!』と大声で言い、ドタドタと走って部屋から逃げ出した。
「相変わらず下品な奴だ」
女優にも負けないドレス姿なのに、品のない走り方で逃げた留美の後ろ姿を優しい瞳で見つめる。そんな郁未を見て聡がクスクス笑う。
「お前の親父さんも面白い条件出したよな。今の彼女なんだろ? 随分と順調に口説けている様だな?」
郁未と父親との賭けについて話を聞いていた聡。二人の初々しい態度にまだ進展はそれほどないと分かると、余裕のセリフを吐く。
「あんな処女は俺なら今夜一晩あれば十分仕留められる。一晩可愛がれば女は悦ぶだろう」
自信たっぷりの聡は腕を組んでは偉そうな態度をする。しかし、それを見て郁未は首を横に振る。