狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
「バカ言え、俺は体脂肪率9%だ。
しかし俺は前からずっとやってるが、お前には初めて会うな。
ここ、家から近いんだっけ?」

「だって今日始めたばっかですから。
…ムグムグ…
そう、わらひ(私)、ここから1キロほどのワンルームです」

「あっそ。
しかし、あいかわらず残念な奴だな…」

「え、何か?」
「いや何でもない…大体な」

彼は私の右手から、1/3程が欠けている菓子パンを奪い取った。

「あっ!」
「こんなデッカイ、しかも脂っこいパン食って、美容も健康もあったもんじゃないだろうが」

彼は半分を一口で齧り取ると、ホイッと手に戻した。
マイボトルをグイッと一飲み。

「あああ、私の朝ごはんが…」
「いいか?せっかくやるならな…」

もう取られないように、急いでパンを平らげた私に大仰に溜め息を吐いた後、彼は真顔でピシャリと言った。

「きちんとカロリーを計算した、栄養バランスのいい朝飯を!自分で作って食え!」

「うう…ごもっとも」
朝ご飯が無くなったショックとお叱りに、ガックリと肩を落としていると、彼はコホンと咳払いした。

「…ま、あれだ。
やろうと思い立ったのは、スバラシイことだ。何もしないよりは絶対にいい」
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