狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
その一言で、私は途端に元気になった。

「そうですか⁉やっぱりそうですよね~」

ニカッと顔を上げて笑うと、彼は少しだけ仰け反った。


「…い、いかん、もうこんな時間だ」
大袈裟に腕時計を確認し、おもむろにベンチから立ち上がる。

「そろそろ行くわ、俺。今日は遅刻するなよ?じゃあ……」
軽く手をあげた彼にヒラヒラと手を振り返す。

そうか。彼の家は、確かここから5キロくらい先だったかな。
往復10キロか…スゴいや。

「そうだ、赤野」
去り際に、彼がクルリと私を見返った。

「はい?」
バナナ牛乳のストローをお口から離し、返事をすると、彼がタタッと走り寄る。

「ちゃんと続けられるんだろうな?
ランニング」
「それはモチロン、(起きれたらだけど…)」

「……最後のほう聞こえてるぞ。ようし。
この俺様が、意志薄弱なオマエがキチンと続けられるかをチェックしてやる。明日も来いよな、この時間」

「うぇぇっ?……あ、ああっ!」

彼は、ニヤッと笑うと私の手からパックを奪い、一気にジュッと飲み干した。

「……甘すぎる」

彼は空のパックを私に返し、今度は本当に走り去っていった。


「私の……朝ゴハン……」
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