狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
ほぇ~~、綺麗…

(赤野、…赤野!)

ボンヤリと見とれていた私に、大神リーダーがサインを送っている。

えっ?あ、いけないっ。
まだプレゼン中だったんだ!

私は慌てて画面を送った……
つもりだったのだが。


ここで私は大失敗をやらかしてしまったのだ。


急いでろくに確認もせず操作を誤ってしまい、気づけば別の画面を大スクリーンに写し出していた。

慌てて元に戻そうとするが、焦ってよけいに手が震え、続きの箇所に戻れない。

あれ?あれ?
 
パニックに陥った私は、焦ってマウスを動かすも、状況は悪化するばかり。

その間約30秒。

支社の会場責任者が、大神リーダーをジロリと睨み付けた。

会場が再びザワめき出して、気まずい空気が支配し始めた。

ダメだ。復帰できない。

泣きそうになりながら首を振り、大神さんを見つめた時だ。

ふいに彼は、原稿を伏せた。
口の形で私に告げる。

(画面を落とせ)
(え?…でも…)
(いいから!)

言われたとおりに画面を落とした。
と同時に照明が上がる。

彼は演卓にマイクをも置き、身振りを添えて続け出す。
「……と、ここまでは宣伝どおりでございますが……」
 

それからの彼はスゴかった。

残り10分間を完全なアドリブで、そりゃあもうパーフェクトにキメてくれたんだ。
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