狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
結局、その後の質問もたくさんあって、大神さんのプレゼンは大成功のうちに終わった。

明日には、今日と同じ発表を支社の社員向けにやったあと、会議に出てから帰社することになっている。

会場を出、その足で支社に向かった私達は、明日の日程確認と挨拶回りを済ませて、午後5時すぎには支社を出た。

支社は東京本社と違って敷地が広く、玄関を出ると、ちょっとした散歩道のようになっている。


「あのっ、……スミマセンでしたっ!」
先を行く大神さんに、私は大きく頭を下げた。

「当然だ。…まあ、次からは気をつけろ」

彼はサラリとそれだけ言うと、またゆっくりと歩き出した。

ものすごいお叱りを予測していた私は、思わずポカンと口を開けた。

それを見て可笑しげに笑う彼。

「まあ、いつもみたいな調子なら怒鳴り上げてやろうと思ったが。
さすがに今回は、キッチリ反省しただろうから。言わなくても次はちゃんとやるさ、な?」

「リーダー……」
 
目の奥ががじわぁっと熱くなった。
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