狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
少し間を置いてから、彼は一つ深い溜め息を吐いた。

「赤野ちゃん君ねぇ、分かりやすすぎ。
こないだまで、ニコニコしてたと思ったら今度は……
火が消えたみたいだって、
皆心配してんだよ?」
「え…」

そうかなあ?
ざっと周囲を見渡したけど、いつもの歳末と同様、忙しそうに立ち働いているようにしか見えないが。

…にしたって、三上さんには気を使わせてしまった。

私は急いで笑顔を取り繕った。

「そんなことないですよ~、えっと…」

何か気の効いた事を言いたいが、
ダメだ何にも出てこない。

言い澱む私に、三上さんがニッと笑いかけた。
 
「あ、そだ!今日、係会やる?赤野サンを励ます会ってことで。ね、水野さ~ん?」

彼が係長席を振り向くと、水野さんがメガネをキラリと光らせた。

「あらいいわね。
行ってらっしゃい?ドウゾお2人で」
「ちぇっ、ツレないなあ……」
 
彼は再び私を向いた。

腕を組んで少し考えた後、ニイッとほくそ笑む。

「じゃあ……2人で行っちゃうか。
あ、別に下心があるわけじゃないよ?
先輩として、カワイイ後輩の悩み事をジックリと聞いてあげたいなぁ~と…」
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