狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
何だか妙に歯切れが悪い。

「?」
意図が飲み込めずキョトンとしていると、彼はキュッと眉をつり上げて、運転席に半立ちになった。

「ま、まさか、あのエロメガネが!?
アイツがオマエに何か…」

エロメガネ……寺田さんの事だ。

かつて私があんまり誉めてばかりしていたせいで、カチョーは彼を毛嫌いしていて、そんな呼び方をする。

いつも思うが、男の人って変な対抗心を持っているもんだ。

にしたってカチョーはさすがに鋭い。
ギクリと肩を震わせながらも、
私は慌てて否定した。

「や、やだなあ。別になんにも無いですよ……」

「そうか。なら……いいんだけど」
彼はシオシオと座席に戻っていった。


しばらく後。
私達は道中ショッピングモールに寄って手土産を揃えた。

「あれ?1つ足らないですよ?」
車に運び入れた紙袋を数えると、9つしかない。

「うん。あと1つは、あちらの社長のお気に入りがあるんだ。受付のお嬢さんからの最新情報。リストの情報はちょっと古い」

「ほぅ……」
 
マメだなあ。
 
したり顔で言った彼に、半ば呆れながら私はリストに修正を入れた。
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