狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

「おかげで朝飯を食いそびれた」
嘯(うそぶ)く彼に、私は真っ正直に返した。

「スイマセン。朝起きれなくって、つい」
「え？」

一瞬ポカンとした彼は、慌てて言葉を取り繕った。

「イ、イヤその……まあ、当てにしてた方が悪いんだけどな。えーっと……
そ、そうだ！」

今度は意地悪げに口の端を上げる。

「お前さては…俺が出張行ってた間ずっとサボってたんだろう？
よく見たら前よりかなりムクんで…」

「エエ、実はそうなんですよ。それですっかり寝坊癖がついちゃって。
やっぱりダメですよね、私は…」

エヘヘと笑う。

「そうだろ？やっぱり俺が居ないとダメだな。って……何だよオイ。調子狂うな…」

それきり彼が黙ってしまったので、私は再び作業に戻った。


彼が次に口を開いたのは、次の信号待ちの時だった。

「赤野？
えっと……元気がないみたいだけど、その、何かあったのか。
あ、別に俺は全然気にしてないけどな。三上からたまたま聞いただけなんだけど！

ちょっと前まであんなに嬉しそうだった癖に、出張から戻ってきたら何て言うか……」