狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
お正月。
実家に戻っていた私は、ホヤっとユルむ頬を何とか止めようと、両の掌で持ち上げている。

どうしよう、ニヤけ笑いが止まらない。

あの後、会社の前で別れた彼は終業時間になっても課に戻っては来なかった。

会社が休みに入る前日に帰省することに決めていた私は、だから彼には会えずじまい。

ひどく落ち着かない気分のまま、あれこれと彼の心を推し量ったり、夢みたいな妄想に耽ったりして、この数日を過ごしていた。


今は夜__
久しぶりの実家とばかりに兄ちゃんと2人、コタツに足を突っ込んでダラダラと寝転がっている。

さっきから私は、兄がつけたバラエティー番組を見ることもなく、延々とカチョーの “爆弾発言” を脳内でエンドレス再生していた。

………
落ち着いて、落ち着くのよ燈子。“好き”っていってもイロイロあるわ。

友達として? ナイわ~。
優秀な部下として? ナイナイ。
子分、又はパシリとして? あ、あるかも。
 
いやでもね、
“好きな女” だよ “女”。

あんな恥ずかしそうな顔、耳まで真っ赤なカチョーなんて初めて見たもんね。

ニヤ……
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