狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
彼はふと、伏せ目勝ちの愁いを帯びた切なげな表情を見せた。

ヤー…色っぽい。
やっぱ好きだわ、顔だけは。

にしても私、酔ってるのかな。
なんか距離が近くない?
 
手がそおっと顎にかかる……
 

刹那。

え?
私の唇に柔らかい感覚が掠めた。

「ふ、ふああ…」

何なに⁉マサカ…これは…
お酒にフヤけた脳が回り始めた時には遅かった。
テーブル越しに彼は私の身体ごと引き寄せて、唇にしっかりとした弾力を押し当てる。

余りのことに、目を見開いた私。
彼は景色でも眺めるみたいに目も閉じず、三日月みたいに目を細めて笑っている。

恥ずかしくて、思わずギュッと目を閉じた。
 
すると彼は私の唇を舌先で優しく撫で、半開きの綴じ目から、やすやすと中に侵入した。やがてそれは、ゆっくりと焦らすように、口腔の粘膜を刺激する……

「……昼。見てただろ?欲しそうな顔してさ」

唇を軽く当てたままで、艶っぽく掠れた声で問いかける。

何これ。

私……こんなの知らない。
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