狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
「そ…なことは……」

返事を待たずにもう一度、不遠慮に深く口付けた。思うままに舌を絡め取りチュルっと音を立てて吸い上げる。

そうしておいて、また離す。

「色気が足んないのよ、赤野サンは…」
「は…なして…」

「いいよ?どうぞ、自分から」

ニッコリ微笑む。
 
さっきから彼は、すぐに突き飛ばして逃げられるほどの力しか入れてない。
 

私はそんなにカルい女じゃない‼

叫んでドーンと突き放すべきところなのに…お酒のせいか…な?

 
しんと静まった個室に、チュッと唇の合わさるリップ音と、切ない吐息が響いている。

少し前まで居酒屋でバイトしてた私は、
“これ、バレてるよな~”などと頭の片隅で考える。

しかし、いつしか私はなされるがままにうっとりと、もたらされる快楽に身を委ねて、いつまでも長いキスを続けてしまっていた。
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