狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
それから1か月ほどがたった、ある冬の日のこと。

「あれ?大神さん。
いいレーベル着てるじゃないですか。ひょっとして……今夜はデートですか?コノコノォ~」

「ウルサイな。別にデートだからって訳じゃない」
少し頬を赤らめる。

「またまたァ。え?ダレですか?もしかして私の知ってるヒト?」
 
優しい私が社交辞令で聞いてやると、彼は嬉しげに胸を張った。

「何だよ。赤野さんは、俺の相手が気になるの?」
ニヤッと笑う。

「いいっ?いや全く、ゼンゼン…」
「庶務課の佐村サン。知ってる?」

「………あ~」

“興味ない”と言う間もなく即座に、しかもひどく自慢気に答えられてしまった。

悔しい……

「どうだ、羨ましいか?」
「アー、ソウデスネー」
フフンと鼻を鳴らした彼に、心ない返事を返した時だった。

「お?」

グラッ。
地面が揺れた。

「ああ、そういえば!
今朝から地震が多いですね~、大丈夫かな~心配だな~」

私はサッと話題を転じた。

「……そうだな」

…勝った。

と、この時ばかりは群発地震に感謝した、そんな朝だった。
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