狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
「リーダーのご栄転、まずはオメデトウごさいます!」

「ああ、ありがとう」
彼は満面の笑みを湛えてそれに応えた。

ああ、苦節1年。
やっとこのパワハラ&セクハラ生活から解放される日が来たのだ。

私は感慨も深く、嬉し涙を流して言った。

「送迎会はゼヒこの宴会部長、赤野めにオマカセください。
リーダーの門出をきっと素晴らしい会にしてみせます!」

ドン、と胸を叩く。

「そっかぁ…俺は嬉しいよ。
ずっと叱ってばかりいたお前が、自分のコトのように喜んでくれるなんてな……」

彼は少し目頭を赤くした。

私は口も滑らかに、目にハンカチを当てながら、心にもない名残を告げた。

「そりゃあもう……
ああ、寂しくなるなあ、
リーダーにはもっともっと鍛えてもらいたかったのに…」

すると彼は私の肩を軽く叩き、ニッコリと笑った。

「そっかあ……ありがとな、赤野。
じゃあこれからもヨロシク」

「はい!ヨロシク……って、ええぇっ?」

「4月から、俺が君の “課長” だ」
ポンポンと頭を叩く。

「か……ちょ…」

「ハーッハッハ、ザンネンだったなぁ!
望みどおりさらにシッカリ鍛えてやろう。……覚悟しとけよ」

呆然自失の私に向かって、
彼はこれでもかってくらい人の悪い、残忍な笑みをニヤッと浮かべた。

カチョー…なんて

3足跳びじゃん。

戻ってきたイヤミ課長が、苦~い顔をしている。

ウ、ウ……

ウッソーーーーン‼‼

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