柚時雨




 「はぁ…はぁ…」




 まだ日が暮れる時間ではないのに

 今日の空は、もう薄暗かった。




 「居るわけねぇか……」



 急いで来た俺は

 膝に手をついてため息を漏らした。




 ここは、朝にあの子を見掛けた

 マンションに囲まれる

 小さな小さな公園。


 遊具はブランコと鉄棒しか無い。

 あとは、向こうに小さな

 ベンチが2つ。



 毎朝通る、駅への道から

 この公園は見えるのに

 俺は存在すら知らなかった。


 何故、あの時俺は

 この公園を見付けたのかは

 全く分からない。




 俺はただひたすら

 小雨が傘に打ちつける音を

 黙って聞きながら、公園に入った。




< 14 / 40 >

この作品をシェア

pagetop