柚時雨
だけど、考えてみれば
俺はゆい子に出会って
ゆい子が好きだと自覚して
それが恋だと分かって……
会えずにいたけれど
どこか“幸せ”を感じていた。
あのしゃぼん玉が
俺を幸せな気持ちにさせていた。
里奈の言葉は、正しい。
里奈の言葉は、確かだ。
俺は、里奈に思いを言われなければ
今、ゆい子の目の前に
居ることは出来なかった。
「好きだ」
涙の理由を教えてくれたゆい子に
俺は、そう言った。
ゆい子の手に握られた
あのしゃぼん玉の容器が落ちて
中の液が溢れる。
涙をたくさん流すゆい子は
小刻に肩を震わせて
そして
小さく頷いた────