柚時雨


 ───「そ~うちゃん!」



 アスファルトの凹凸にできた

 たくさんの水溜まりを

 大股で避けながら歩いていたとき。



 「び、びびった~!里奈か~」

 「そんなに驚かないでよ」



 突然俺の背中をど突いたのは

 俺の幼なじみ、里奈だった。

 相変わらず背が小さくて

 ぽっちゃりした幼児体型の里奈。

 ドラマかマンガみたいに

 大人っぽくて、恋愛対象になるような

 美人な幼なじみって具合には

 なっかなかいかないわけだ。



 そんな里奈との

 切っても切れないくされ縁に

 またため息をつきながら

 ちまちまと歩く里奈を見た。


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