彫師と僕の叶わなかった恋
障 壁 ・・・・2
「それでは、お掛けになって少々お待ち下さい」
そう言って僕は急いで洗車に取り掛かった。
もう一人新人のアルバイトの子がいたのでその子には閉店の為の
片付けをしてもらい、僕は洗車をしながら他のお客様も
対応しなければならなくなった。
30分有れば洗車は何とか終わるし、幸運な事に今日は
対応しなければいけないお客様1人を除いて他には
いなかったので、何とか21時25分に洗車を終わらす事が出来た。
僕の頭の中ではサービス残業に成っちゃうけれど
締めの作業は閉店してからにしようと思いながら若い男の子に
「お待たせしました、撥水洗車の作業が終わりましたので
確認をお願いします」と言い間に合った事に安堵していた。
確認していた若い男の子は
「あれ~ねーねー店員さん、まずいよ~ここ傷付けちゃってるよ」
その時になって僕は“はっ”とした。
急いだばかりに、お客様に作業前の確認をする事を忘れていた。
「ほら、ここ、ドアミラーの下っかわ、線はいっちゃってるじゃん
どうする?これ」
明らかに嫌がらせだった。
絶対とは言えないけど、普通に洗ってそんな所に傷が付く訳ないし
このとき僕は急いでいたので、実を言うとドアミラーは水を掛け
ただけだったのだ。
「お客様、手洗いですのでその様な所に傷が付く事はまず無いのですが」
「だって、実際に付いてるじゃん。良く見てほらここ」
と言って若い子は僕の頭を両手で掴み、無理矢理、傷に顔を近づけさせた。
「どうすんのこれ?」
「すみません、こちらのミスですので、修理をさせて頂きたいのですが
それで宜しいでしょうか」
「ふざけんなよ、新車いきなり傷つけられて修理しますって言われても
その時点で査定下がっちゃうじゃん、お前んとこで新車買って交換してよ」
僕は何とかしようと思えば思う程悪い方向に話が進んで行ってしまう事を
実感していた
新人のアルバイトの子が見ている。
何とかしないとカッコが悪い。
僕はどんどん焦って行った。
すると若い子が「あ~もういいや、俺これから行くとこ有って
急いでるから修理で勘弁してあげるよ」と急に態度が軟化した。
“良かった、これで面目が保てた”と僕が思った次の瞬間
「じゅあ、土下座して謝って」
僕は一瞬この言葉が理解出来なかった。
「だから~土下座して謝れって言ってんの忙しいんだから早くしろよ」
僕は“また、土下座か”と思ったが、多分この若い子はきっと誰かを
土下座させたいだけで、僕が何と言おうと結果的に土下座させる
つもりなんだろうと思ったので、僕は腹を括った。
「大変申し訳有りませんでした」と言って僕は土下座をして謝った。
が、次の瞬間後頭部に何かが乗った、と思った瞬間に
それがググッと頭を踏みつけて来た
靴で頭を踏みつけられている事に気が付いたのは
若い子の声が聞こえてからだった。
「土下座ってのは~この位まで頭下げんのが土下座って言うんだよ」
といって力一杯僕の額をアスファルトに押し付けた。
悔しいより情けなかった、恥ずかしかった。
新人のアルバイトの子の目の前でアスファルトに額を押し付けられて
土下座している姿を見られているかと思うと消えて無くなりたかった。
若い子は気が済んだのか
「俺が寛大だからこれで済ますけど、次からは気を付けろよ」
と言ってガソリンスタンドを出て行った。
僕は暫くの間、正座をしたまま遠くを見つめていたが
魂の抜けた体で立ち上がり、新人のアルバイトの子の目を見ずに
「お疲れ様時間だからあがっていいよ」
と声を掛け、締めの作業に入った。
スタンドを出たシンジは直ぐにレイの元に向かった。
シンジは「レイさん、行ってきましたよ」
「おう、どうだった、これバイト代な」
「あいつダッセーっすよ。何も出来ないで直ぐ土下座したんで
頭踏んづけてやりましたよ」
「お前、鬼だな。俺はそこまでやんないぞ」
「俺がレイさんと出会った時よりは優しい方ですよ。
でも、レイさん何であいつにそこまでするんすか?
ムカつくやつだけどそこまでイジメる程じゃ無いと思うんですけどね」
「うるせ!俺にはムカつくんだよ」とレイが怒鳴るとシンジは
「ま、俺はレイさんから、やれって言われればやりますけど・・・・」
「また頼むかも知れねーけど、この事は絶ってー誰にも喋んなよ」
「判りました、じゃあ俺これで帰りますんで車のキーここに置いて
おきますから」
「それでは、お掛けになって少々お待ち下さい」
そう言って僕は急いで洗車に取り掛かった。
もう一人新人のアルバイトの子がいたのでその子には閉店の為の
片付けをしてもらい、僕は洗車をしながら他のお客様も
対応しなければならなくなった。
30分有れば洗車は何とか終わるし、幸運な事に今日は
対応しなければいけないお客様1人を除いて他には
いなかったので、何とか21時25分に洗車を終わらす事が出来た。
僕の頭の中ではサービス残業に成っちゃうけれど
締めの作業は閉店してからにしようと思いながら若い男の子に
「お待たせしました、撥水洗車の作業が終わりましたので
確認をお願いします」と言い間に合った事に安堵していた。
確認していた若い男の子は
「あれ~ねーねー店員さん、まずいよ~ここ傷付けちゃってるよ」
その時になって僕は“はっ”とした。
急いだばかりに、お客様に作業前の確認をする事を忘れていた。
「ほら、ここ、ドアミラーの下っかわ、線はいっちゃってるじゃん
どうする?これ」
明らかに嫌がらせだった。
絶対とは言えないけど、普通に洗ってそんな所に傷が付く訳ないし
このとき僕は急いでいたので、実を言うとドアミラーは水を掛け
ただけだったのだ。
「お客様、手洗いですのでその様な所に傷が付く事はまず無いのですが」
「だって、実際に付いてるじゃん。良く見てほらここ」
と言って若い子は僕の頭を両手で掴み、無理矢理、傷に顔を近づけさせた。
「どうすんのこれ?」
「すみません、こちらのミスですので、修理をさせて頂きたいのですが
それで宜しいでしょうか」
「ふざけんなよ、新車いきなり傷つけられて修理しますって言われても
その時点で査定下がっちゃうじゃん、お前んとこで新車買って交換してよ」
僕は何とかしようと思えば思う程悪い方向に話が進んで行ってしまう事を
実感していた
新人のアルバイトの子が見ている。
何とかしないとカッコが悪い。
僕はどんどん焦って行った。
すると若い子が「あ~もういいや、俺これから行くとこ有って
急いでるから修理で勘弁してあげるよ」と急に態度が軟化した。
“良かった、これで面目が保てた”と僕が思った次の瞬間
「じゅあ、土下座して謝って」
僕は一瞬この言葉が理解出来なかった。
「だから~土下座して謝れって言ってんの忙しいんだから早くしろよ」
僕は“また、土下座か”と思ったが、多分この若い子はきっと誰かを
土下座させたいだけで、僕が何と言おうと結果的に土下座させる
つもりなんだろうと思ったので、僕は腹を括った。
「大変申し訳有りませんでした」と言って僕は土下座をして謝った。
が、次の瞬間後頭部に何かが乗った、と思った瞬間に
それがググッと頭を踏みつけて来た
靴で頭を踏みつけられている事に気が付いたのは
若い子の声が聞こえてからだった。
「土下座ってのは~この位まで頭下げんのが土下座って言うんだよ」
といって力一杯僕の額をアスファルトに押し付けた。
悔しいより情けなかった、恥ずかしかった。
新人のアルバイトの子の目の前でアスファルトに額を押し付けられて
土下座している姿を見られているかと思うと消えて無くなりたかった。
若い子は気が済んだのか
「俺が寛大だからこれで済ますけど、次からは気を付けろよ」
と言ってガソリンスタンドを出て行った。
僕は暫くの間、正座をしたまま遠くを見つめていたが
魂の抜けた体で立ち上がり、新人のアルバイトの子の目を見ずに
「お疲れ様時間だからあがっていいよ」
と声を掛け、締めの作業に入った。
スタンドを出たシンジは直ぐにレイの元に向かった。
シンジは「レイさん、行ってきましたよ」
「おう、どうだった、これバイト代な」
「あいつダッセーっすよ。何も出来ないで直ぐ土下座したんで
頭踏んづけてやりましたよ」
「お前、鬼だな。俺はそこまでやんないぞ」
「俺がレイさんと出会った時よりは優しい方ですよ。
でも、レイさん何であいつにそこまでするんすか?
ムカつくやつだけどそこまでイジメる程じゃ無いと思うんですけどね」
「うるせ!俺にはムカつくんだよ」とレイが怒鳴るとシンジは
「ま、俺はレイさんから、やれって言われればやりますけど・・・・」
「また頼むかも知れねーけど、この事は絶ってー誰にも喋んなよ」
「判りました、じゃあ俺これで帰りますんで車のキーここに置いて
おきますから」