彫師と僕の叶わなかった恋
決 意 ・・・・4

その後、新人は入って来たけど、みんな若くて僕はまた

一人だけ輪の中に入れず、家でも仕事場でもしゃべる相手の居ない

一人ぼっちの世界に逆戻りしてしまった

僕は“後何年ここで働けるのだろうか?

僕の老後はどうなるんだろう?”

と日増しに不安を募らせ弱気になっていた。

そんな時、ふと立川君の見せてくれたTATTOOの事を思い出した。

あれ入れたら少しは何かが変わるのかな?

立川君の様に自信が持てるのかな?

でも、あれって痛いって聞くけど、どのくらい痛いんだろう?

考えてみて、家に帰ったらカッターナイフで少しだけ試してみようと思った。

家に帰り着き早速、引出しからカッターナイフを取り出して

左腕を少し切ってみた。

痛い!

やっぱりこんなに痛いのは僕には無理だ。

とTATTOOを彫る事を考え直した。

それでも僕は、日増しにTATTOOへの関心が高まって行き

TATTOOを彫る事で、自分自身を変えたい

いや自分の人生を変えないといけないと言う強い思いが

芽生え僕もTATTOOを入れて人生を変えようと考え始めていた。

あの痛さに耐えられれば、きっと何かが変わるはずだ。

そう信じて僕はTATTOOを入れる事を決めた。
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