例えば星をつかめるとして
……とりあえず、関わらないに越したことはないのだろうか。
頭の中でそんな結論を出した時、ふと、一昨日まではなかった右隣の机が目に入ってしまう。
もしかして、もしかしなくても、私はあの宇宙人と隣の席なの?
すっと血の気が引く。関わらないなんて言ってられないじゃないか。
「……松澤さん」
その時、背後から届いた聞きなれない──いや、一度は聞いたことのある、声。
「松澤さん、松澤澄佳(すみか)さん、だよね?」
まずい。非常にまずい。何故なら、彼が呼んでいるのは、私の名前だから。
まるでギギギという音が聞こえるような、油が切れた絡繰人形のように振り返る。
そうでありませんようにという僅かな願いも虚しく、そこには宇宙人、いや、"星野叶多"が立っていた。
「おはよう、今日もいい日だね」
「……お、はよう」
用件はなんだ。
思わず警戒心丸出しのような反応をしてしまう。昨日のことについて何か言われるのか、それとも口封じをされるのか?
けれど星野はそんな私にお構い無しに、一冊のノートを出してみせる。あれは……日誌?
「今日、僕と松澤さんで日直って先生に言われたんだけど」
「はい?」