イケメン伯爵の契約結婚事情
「注文が多いな。なぁ、そこのフルーツを取ってくれ」
メロンやチェリーなど、色とりどりのフルーツが盛られた皿を指さされ、言われたとおりに綺麗にカットされたメロンをフォークで刺す。
「どうぞ」
そのままフォークを渡すだけだと思っていたエミーリアは、上から手を掴まれてぎょっとする。目の前で、フリードがフルーツを口に入れていく。フォークを通じて一本の線でつながった自分たちの形が頭に浮かんで、顔が熱くなった。
「ん。うまい。お前も食ってみろよ」
「でも」
(このフォークで?)
戸惑ったままフォークを見つめていると、手元からそれが奪われ、メロンが刺さった状態で戻ってくる。
「ほら」
「えっ……」
半開きの口に、みずみずしい果肉がぶつかる。観念して、エミーリアはそれをそのまま口に入れた。
「……食べさせあうってのも悪くないな」
にやりと笑うフリードに、エミーリアの顔が真っ赤になる。
何の戯れなのか、心臓が飛び出しそうだ。
「フリード様、大概になさいませ」
側に立っていたディルクが、呆れたような声を出す。
「いいだろう。これでも新婚だ」
「エミーリア様が困っております」
「恥じらうところを見るのが楽しいのだろうが」
本気なのか嘘なのか分からないが、フリードの言葉は心臓に悪い。
胸がいっぱいになり、エミーリアはフォークを置いた。