イケメン伯爵の契約結婚事情
そんな頃だ。
「私、あなたのお子が欲しいです」
常に貴族然としている妻が、顔を赤らめそんなことを言った。
夫婦生活は無いわけではなかったが、まるで義務であるかのように日を決めて寝室に訪れていた。
タイミングさえあえばいずれ子は出来るだろうと思っていたが、その兆しは全くなかった。
おそらく彼女は、フリードと叔父、どちらにつくのか迷い始めていたのだろう。
妻が入手できるフリードの情報はほとんどなく、おそらくだが叔父にとっての手駒としての価値は無くなっていたのだろう。
とはいえ、寵愛されているというほど夫婦仲がいいわけでもない。
子供さえできれば、フリードにとっての妻の存在価値は上がると考えたのだろう。
フリードはそれをチャンスだと思った。彼女を取り込めれば、そこから叔父についての情報が手に入るかもしれない。
できる限り彼女を大切にし、たまに旅行など連れていけば、彼女は解放されたようにのびのびと笑う。半年かけて彼女をこちらに取り込めただろうと思ったころ、子を宿したのが分かった。
しかし、そこから彼女に訪れたのは死だった。同じ食事をとったフリードも軽く体調を崩した。
症状的に毒ではないかと噂が立ったが、その日の食材を調べても証拠はあがらず、食中毒ということで処理された。
分かりやすいほどに叔父が怪しいと思えたが、証拠がなければ追及もできない。なにせ、領内では叔父は絶大の信頼を勝ち取っているのだから。