もう一度君に会えたなら
「そうする」

 わたしはその足で部屋に戻ると早速ワンピースに着替えた。リボンが腰のラインについていてかなり可愛い。デートに着ていこうと決めた。

 ピンクのショルダーを手に、部屋を出て行くと、階段の下で待っていたお母さんに会った。お母さんは目を輝かせていた。

「可愛い。やっぱりよく似合うわね」
「ありがとう。高かったんじゃないの?」
「唯香の喜ぶ顔が見れたから、満足よ。それも今回のテストで頑張っていたしね。あの男の子の影響?」

 わたしは顔を引きつらせた。
 上目づかいでお母さんを見た。

「気づいていたの?」
「あなたに彼氏ができたことでしょう。なんとなくね。あの子なんでしょう?」

 わたしは頷いた。

「少し前から付き合い始めたの。今度紹介するね」
「分かったわ。お父さんにも紹介しないとね」

「お父さん、怒らないかな。恋人ができたって言っても」
「でも、まじめな子なんでしょう。弁護士になりたいらしいし」

「そうだけど、大学には行かないんだって。でも、和泉高校でトップクラスの成績を取っているし、この前の中間テストもかなりよかったんだよ」

 お母さんは目を見張った。
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