もう一度君に会えたなら
わたしは口ごもってしまった。上田さんというのは、わたしのお母さんが働く弁護士事務所の所長だ。そして、篠田さんというのは母親の事務所が顧問をしている会社の社長さんで、個人的な付き合いもある。三十代でペット用品の会社を立ち上げ、今では県内に複数の店舗を展開していた。
「アルバイトをしたいという意志は尊重してあげたいけど、大学生になってからでも遅くないし、よさそうなところも紹介してあげられるわよ。あまり口うるさくは言いたくないのだけれど、そんなに成績がいいわけじゃないのだから、優先順位をしっかりと考えておいたほうがいいとは思うわ。大学はあなたが考えているよりも、あなたの将来にとっては大切なのよ」
もっともな理由だ。学年でトップクラスの成績でも収めていたら違っていたのかもしれないが、今の成績で社会勉強など言っている場合でもないのだろう。わたしは母親の主張を受け入れることにした。
「そうだね。ごめんね」
「いいのよ。わたしもきつく言い過ぎたわ。でも、ほしいものがあれば言ってね。お父さんと相談してからになるけど、できるだけ買ってあげるから」
「ありがとう」
わたしは会釈をすると、リビングを後にした。
「アルバイトをしたいという意志は尊重してあげたいけど、大学生になってからでも遅くないし、よさそうなところも紹介してあげられるわよ。あまり口うるさくは言いたくないのだけれど、そんなに成績がいいわけじゃないのだから、優先順位をしっかりと考えておいたほうがいいとは思うわ。大学はあなたが考えているよりも、あなたの将来にとっては大切なのよ」
もっともな理由だ。学年でトップクラスの成績でも収めていたら違っていたのかもしれないが、今の成績で社会勉強など言っている場合でもないのだろう。わたしは母親の主張を受け入れることにした。
「そうだね。ごめんね」
「いいのよ。わたしもきつく言い過ぎたわ。でも、ほしいものがあれば言ってね。お父さんと相談してからになるけど、できるだけ買ってあげるから」
「ありがとう」
わたしは会釈をすると、リビングを後にした。