もう一度君に会えたなら
 わたしは顔がにやけるのを抑えながら、頭を下げ、その場を後にした。

 家に帰ると、榮子からメールが届いていた。わたしと彼がどうなったかを問うものだ。だから、わたしは一緒に帰ったこととまた会ってくれると言っていたと伝えておいた。榮子からの返事はすぐに届いた。彼女はわたしと彼とのやりとりをとても喜んでくれているように感じた。

 榮子は一連の出来事を詳しく聞きながら、笑みを浮かべた。翌日、榮子にその後のことを聞かれたためだ。

「海に行きたいと言い出したときは驚いたけど、結果的によかったね」
「榮子のお蔭だと思う。ありがとう」

「少しでも役に立てたのなら、よかった。何か、放っておけなかったんだよね。二人とも。余計なお節介にならずにすんでよかったよ」

 彼女はペットボトルのお茶を口に運んだ。

「これからは自分たちで頑張らないとね」
「たちっていうか、わたしがだよね」
「そうだね」

 榮子は苦笑いを浮かべると、頬をかいた。
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