もう一度君に会えたなら
「バイトは週に三、四日?」

 わたしは頷いた。

「だったら、バイトのない日にでも誘ってみたら?」
「そのつもり。でも、来週くらいまで待つことにするよ。あまりしつこく誘っても迷惑になりそうだもの」
「唯香がそれでいいならいいんじゃないかな」

 彼女は優しく微笑んでいた。

「唯香、榮子、英語のプリントを出して」

 そう声をかけて着たのはクラスメイトの田岡広佳だ。

「今日提出だっけ?」

 榮子は鞄からプリントを取りだすと、広佳に渡した。
 わたしはそのプリントを見て、我に返った。

「家に忘れてきた」
「今日も? どうするの? 何人かやってない子もいて、部活に行く前に出そうと思っているけど」

 広佳は目を見張った。先週、英語の課題が出ていたのだ。今日は英語の末田先生が出張で戻ってこないため、学級委員の広佳が集めることになっていた。

 彼女の言葉を示すように、何人かのクラスメイトが必死にプリントと向き合っていた。

「取りに帰っていい?」
「いいよ。唯香の家近いし、部活の途中で出しに行くよ」


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