もう一度君に会えたなら
「ありがとう」

 わたしはほっと胸をなでおろした。
 

 
 ホームルームが終わると、わたしは真っ先に家に帰ることにした。

 家から学校までは歩いて十分足らずだ。そのため、七分ほどで家に到着した。

 鍵は開いていて、リビングにも電気がともっていた。お母さんがいるようだったが、わたしはまずプリントを探すために部屋に直行した。

 机の上に重ねた教科書の束の下に、折りたたまれたプリントを発見した。

 わたしはそれを手に玄関先に戻った。
 ちょうど、お母さんがリビングから顔を覗かせた。

「どうしたの?」
「英語のプリントを忘れちゃったの。今から学校に戻るところ」

「電話してくれたら持っていってあげたのに。それなら途中まで送ってあげるわよ。どうせ今から買い物にいくところだったのだから」
「ありがとう」

 お母さんはすぐに車の鍵とバッグを持ってリビングから出てきた。そして、お母さんと一緒に車に乗り込んだ。学校の前まで送ってもらうのは気が咎めたため、近くのわき道を入ったところでおろしてもらうことになった。

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