HANABI


でも、あたしもバカだからやめときゃいいのに、口が勝手に動いてしまって。


「…まだ、好き…、なんだ。里佳さんの事。」

ううん、違う。
きっと、どこかで期待してた。

『そがぁな訳ないじゃろうが。とっくに吹っ切れてるけぇ。』

そう言ってくれるような気がして。


だって、粟生の彼女候補はあたしだもん。
あたしじゃなきゃ、あたしが許さないし!

あたし以外に、誰が粟生に想われるの?




だけど、そんな根拠のない自信は、粟生の次の言葉によって見事なまでに崩れ去った。





「…そうじゃなぁ。未練はないって言ったら、嘘になるけぇの。」

「未練…?」

見上げた粟生の顔に、見た事もない切なさが滲んでる。



「教師は、俺の夢じゃったけぇな。その為に犠牲にしたのは、えっとあるけぇ。」


えっとは…たくさん、って事だから
その中に、里佳さんも…。


ぎゅっと握ったスカートが、ぼやけて映った。



「…里見?」






< 17 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop