HANABI



結局、文化祭当日まで
あたしが粟生と話したのは、それ一度きり。

粟生があたしのクラスの担任になって、毎日嬉しくて、毎日学校が楽しみでしょうがなかったのに。


今じゃ、てんで逆だ。


粟生の
笑顔を見るのが辛い。

粟生の
声が胸を締め付ける。


切なくて、切なくて。


本当は話したいし、会いたくて耐えきれなくて。
矛盾した気持ちが今にも破裂しそう。

それこそ、花火みたいに散ってしまいそうだった。





「楓!一緒回ろー!!」

「あー、うん。」

お化け屋敷の準備も終わり、文化祭が始まったその時。


親友の、千秋(チアキ)に誘われ教室を出たあたし。


「どこから回ろうかー。」


千秋の持つパンフレットを二人で見ながら、廊下を歩いていると

「里見、平河、」

呼び止める声が背中から聞こえて、立ち止まった。



「一時からはお前達がお化け役じゃけぇ、遅れんでけーよ。」










< 24 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop