HANABI
結局、文化祭当日まで
あたしが粟生と話したのは、それ一度きり。
粟生があたしのクラスの担任になって、毎日嬉しくて、毎日学校が楽しみでしょうがなかったのに。
今じゃ、てんで逆だ。
粟生の
笑顔を見るのが辛い。
粟生の
声が胸を締め付ける。
切なくて、切なくて。
本当は話したいし、会いたくて耐えきれなくて。
矛盾した気持ちが今にも破裂しそう。
それこそ、花火みたいに散ってしまいそうだった。
「楓!一緒回ろー!!」
「あー、うん。」
お化け屋敷の準備も終わり、文化祭が始まったその時。
親友の、千秋(チアキ)に誘われ教室を出たあたし。
「どこから回ろうかー。」
千秋の持つパンフレットを二人で見ながら、廊下を歩いていると
「里見、平河、」
呼び止める声が背中から聞こえて、立ち止まった。
「一時からはお前達がお化け役じゃけぇ、遅れんでけーよ。」