HANABI
文化祭は他校から来る人も多くて、お昼近くになるとかなりの賑わいを見せていた。
「ひゃー、どこも混んでるね。」
「だね、千秋あっち行こ!」
人混みをくぐり抜け、千秋と二人で二階の渡り廊下に向かう。
息苦しい人の波を越えると
秋の涼しい風があたしの胸元まで伸びた髪を撫でた。
外へと吹き抜けになってるこの渡り廊下。
ここで感じる風も、あと少し。
粟生と過ごせる時間も。
卒業したら、全てに
さよならが訪れる。
悲しい、なんて
思わないって言ったら嘘になるけど
それでもここで懸命に恋をした日々が過去に変わるのは、何をしたって避けられないんだ。
粟生も、あたしの中で
過去に変わる?
思い出の中だけでも、想っていていいかなぁ?
なーんて。
未練たらしいのは、粟生じゃなくってあたしか。