奏 〜Fantasia for piano〜
電話を切った後は、ワーワーと声を上げて泣いていた。
おばあちゃんが宥めてくれても、抱きしめてくれても、涙は止まらない。
時刻は夕方で、泣き疲れた私は夕食も食べずに、いつの間にか眠っていた。
目が覚めたのは、真夜中のこと。
布団に寝かされていて、隣にはおばあちゃんが寝ている。
お腹が空いたと起こそうと思ったけど、我慢した。
今日は随分とおばあちゃんを困らせた自覚があった。
寝顔が疲れているようにも見えて、子供心にも申し訳なさを感じていた。
襖を開けて、廊下に出る。
夜中に私がトイレに起きたときのためにと、廊下には豆電球を灯したままにしてくれている。
居間に入り、ちゃぶ台の上にあったクッキーの箱を開けて、一枚食べる。
空腹を感じているはずなのに、二枚目には手をつけなかった。
どうしてか美味しいと思えなくて、胸が苦しいし、もう食べたくない……。
時計を見ると、短い針は二を指していて、長い針は三と四の間にあった。
二時なん分か分からないけど、朝が来るまで、まだかなりの時間があることは理解できた。