君の幸せな歌を
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料理をしている間は、テレビをつけずに『Midwinter』のアルバムをずっと聴いていた。冬和の澄んだ歌声を聴いていると、穏やかな気持ちになれる。
せっかくのクリスマスパーティー。ささやかな2人だけのパーティーなんだもの。まして、冬和は疲れて帰ってくるのに。あたしが暗い顔はしてられない。
冬和からの《もうすぐ帰るよ》というメッセージを見てから、完成した料理をテーブルに並べていく。
高菜と豆腐の和風スパゲティにピザ。焼豚のリースサラダ。それからフライドポテト。あとはクリスマスケーキは、冷蔵庫の中。
鏡の前で笑顔を作ってみる。どうかなあ。うまく笑えるかな。
ガチャンと鍵の開く音が聞こえて、玄関まで急いだ。
「おかえり。寒かった? ……冬和?」
あたしの顔を見るなり、冬和は安心したように笑って、抱きしめてきた。
「月歌、いないかと思った」
「何でよ。今日、クリスマスやるって言ってたのに」
「すごく不安にさせただろうなって思ったから。でもいてくれて良かった」
バカだなあ。あたしと何年付き合ってるのよ。よしよしと冬和の頭を撫でた。