君の幸せな歌を


「ちゃんといるから心配しないで」

「うん。ありがとう。ねえ、月歌」


離れた冬和と、目が合う。何とはすぐに言えなかった。

真剣な顔つきをしているから、その先に何を言われるのか怖くなってしまって。何だろう。ドクンと心臓が脈を打つ。

さっきの不安が蘇ってくる。


「僕と結婚してほしい」

「……え? けっ、こん?」


ちょっと待った。結婚? って、あの結婚?
いや結婚にあのとかどのとかないか。って、そうじゃなくて。


「事務所には結婚したい人がいるって話してきた。あの人とは何もないけど、高校の頃からお付き合いしてる人がいますって」

「え、あの、え!?」


頭がまったくついていってない。そんなあたしを見て微笑みながら、冬和は続ける。


「メンバーにも相談したら、もうプロポーズしてもいいんじゃないかって言われて。何よりも、僕がそうしたいと思った。月歌はどうかな?」

「どうかな、って……」


まさか玄関でプロポーズされようとは思ってなくて、ただただびっくりしてる。せめて、料理の並んだテーブルで向き合ってとか……あるじゃない?

でも、嬉しい。嬉しすぎて、喉の奥が熱くなる。冬和はいつも、あたしの不安をどこかへやってくれるよね。


「この先も、あたしは冬和と一緒にいたい」


あたしにあるのは、冬和への気持ちだけなんだもの。


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