恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜
「どうしてそんな勝手に。そういっておいて約束も破るんでしょ」

「任務が遂行するまでの我慢だ」

「我慢だっていわれても」

「他の男にうつつをぬかすなよ」

そういってわたしの腫れぼったくなった唇に大上部長は人差し指で触りながら、くすっとかわいらしく笑ってくれた。
でも、そのいたずらな微笑みは早乙女さんに向けるべきじゃないの?

「藍華さんのところへいけばいいじゃないですか。お似合いですよ」

一瞬、空気がシンと静まった。
大上部長はわたしの言葉に鋭い視線をぶつけてきた。

「それでいいのか」

「大上部長の人生ですから。わたしがとめることじゃないですから」

ついつい口走ってしまう。そんなこと、いいたくなかった。
本当ならこのままずっと一緒にいてほしい、っていいたいのに。

「ばか。一人にさせるかよ」

そういうと、大上部長は大きな腕でぎゅっと抱きしめてくれた。あの夜の続きをしてくれているのだろうか。

「任務が終わるまでだ。我慢してるの、お前だけじゃないんだ」

「……部長」

「任務が完了したらこの間の続きをするから。お前に頼み事をする」

「なにをですか?」

「ひとつ仕事をしてほしい。藍華お嬢様に接するやつを追い払ってくれ」

「……わかりました」

「辛抱させてすまない。キスだけじゃ足りないぐらいだが、許してくれ」

せつない顔を浮かべ、愛おしそうにまた唇を重ねる。

「計画はまた追って連絡するから。おやすみ、椎名萌香」

「……おやすみなさい」

無理やり引き剥がすようにして大上部長は部屋から出ていった。

わたしから今夜はずっとそばにいてください、なんていったら大上部長はどんな顔をしたんだろう。
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